「白熱電球の美しさをLEDで」成功の舞台裏・Siphon戸谷氏インタビュー

昔ながらのフィラメント電球の美しさとLED電球の性能をあわせ持つオシャレなLED電球「Siphon(サイフォン)」。企画したBeat-Sonicは、Makuakeでクラウドファンディングを実施し、当初の目標金額150万円を開始からわずか1週間で達成。最終的に約1,440万円以上を集めて、日本国内におけるクラウドファンディングのプロダクト系プロジェクトの中で過去最高記録を樹立した。今回は、Siphonのプロジェクトリーダー 戸谷大地氏とMakuakeを運営する株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング取締役 木内文昭が対談。社内向けのプレゼンなど企画段階での苦労やその突破口といったMakuakeでの成功の舞台裏を語ってもらった。

カー用品会社でデザイン性に優れたLEDを開発?!

木内:まずはSiphonのプロダクトにおけるクラウドファンディング日本記録樹立おめでとうございます。戸谷:どうもありがとうございます。
木内:今回、LED照明をSiphonのような形でつくろうとされた背景はどんなところにあるのですか?戸谷:うちは車用品の会社なんです。車の業界も今後どうなっていくかわからないので、新しい分野に挑戦したいなっていう意識は結構前からありました。でも、それがなんなのかよくわからなくて、ぼんやりとした感じだったんですね。3,4年前にLED照明のマーケットが大きくなってきたときに、社長が「LED電球だったらうちでも作れるんじゃない?ちょっとやってみようか」って軽い感じで始めたのがきっかけです。でも、いわゆる一般的な照明というか、大手メーカーと同じことをやってもダメ。本当に照明にこだわる人のための、一点突破的な商品をつくっていこうということになったんです。それからLED電球をつくり始めて、最初に出来たのが「影美人。」という影が綺麗に見えることを追求した商品です。発売から数年たって、ようやく市場の中である程度認知されてきたので、「次に何をやろう?」と思ったときに、フィラメントの電球に辿り着きました。もともと、喫茶店やレストランで使われている白熱電球を、同じ雰囲気のままLEDにできたら…と思っていたのですが、たまたま照明の展示会でフィラメント状の細いLEDをつくっているメーカーを見つけたんです。そこで僕のアイデアとソリューションがパッと結びついて、開発に乗り出したのが半年くらい前ですね。

ブランドもない販路もない…社内にうずまく不安

木内:なるほど。でも、いざ開発しようというとき、「売れるのか?」と不安もあったかと思うのですが、社内の反応はどんな感じでしたか?戸谷:実は僕自身も最初は半信半疑でした。電球といえば家電量販店のワンフロアを占めるような大きなマーケットなので、新規参入みたいな会社が本当にやっていけるのか?という不安はもちろんありました。でもやはり、僕よりも社内の不安のほうが大きかったかもしれないですね。木内:たしかに今までのBeat-Sonicさんの持つ背景とはかなり違うところでチャレンジされている感じがするので、そのあたりは開発のご担当として大変だったのではないですか?戸谷:Siphonを会社でみんなに見せたときも、「今までにないし、すごくかっこいいとは思うけど、うちのパワーで売れるの?」といった反応でした。
車用品に関しては、しっかりとした販売チャネルがあるし、ブランドもあるのですが、照明に関してはブランドも無いし、販路もない。そんななかで、大手がシェアを占めている市場で売っていけるのかという不安が社内にありました。実はいままでもいろんな新商品を出してきたんです。車関係でも照明関係でも、うちはものをつくるのは得意だし、「ちょっと変わったものつくってみよう!」みたいな社風なので。でも、ものはいいけど売れなかったものっていっぱいあるんですよ。やはりすでにほかに注力しているものがあるときに、そこでポッと“ちょっといいもの”が出てきても、「今はこっちだから!」って販売戦略の優先順位が下がってしまう。なかなかそういうタイミングが合わずに、「あー、あれは本当だったらうまくいっていたよね」といった後悔はよくありました。だからSiphonも、そういった点で悩みましたね。

クラウドファンディングという選択社内はリスクヘッジ面から説得、自身は話題性を重視

木内:クラウドファンディングでやってみようということを、開発のご担当としてどのように会社に説明されたのですか?戸谷:会社に説明した理由と、僕自身が思っていた理由はちょっと違うんです。会社には「クラウドファンディングで最初の発注にかかるコストをまかなおう」と提案しました。新商品をつくるときって、初期投資がかかりますよね。そして、お金をかけていいものをつくっても、売れなかったら在庫になってしまう。でも、クラウドファンディングだったら、最初は売れた分だけつくればいい。そのあたりが会社に提案したメインの理由です。社長も、ユーザーの反応を見てから製品化ができるクラウドファンディングの仕組みを気に入って、「うちみたいなメーカーにはぴったりだよね」と。一方で、僕の心の中では、製品化の先の部分、販売のところを重視していました。どうやって市場に浸透させていくのかということを考えると、知名度もブランドもないけれど、クラウドファンディングを使ってプロジェクトが盛り上がれば、雑誌やウェブメディアがたくさん扱ってくれるようになる。そこに乗っかれば、新参者でも早く市場に商品を浸透させていけるのではないかという思いがありました。
木内:社内の説得としてはリスクヘッジをしたほうが妥当な選択だよねという固い理由で、販売をどうしようかって考えたときには、プロモーションの側面もあったということですね。たしかに、どれくらい話題になるのかという点はロジカルに説明できないですしね。戸谷:そうなんです。「ソーシャルメディア上で話題になる」「大手のメディアが扱ってくれる」というのは、僕自身の感覚でしかないですから。

思い切って「ちょっとでも気に入ったら買える価格」を意識

木内:ただ、プロダクトってやはり量産効果が大前提だと思うので、「これくらい売れるから、これくらいの値付け」という判断や値ごろ感の打ち出し方がすごく難しいのではないですか?戸谷:それはすごく難しかったですね。一番悩んだところかも。価格設定って、「何千円くらいものを何個つくるか」という見込みによっても変わってくるし、プロダクトによっても変わってくると思う。欲しいと思えば何万円も出して買ってくれる人がいる商品もある。Siphonの場合は、まずは業者の方々に興味持ってもらいたいというのがあったのですが、それだけでは僕が心の中で目標値にしていた300万という金額(当初公表した目標は150万円)には届かない。そうすると、一般の人、特に最新の電化製品などに敏感な人たちが、「お、これ面白いじゃん!」というふうに買える感じにしないと無理だなと思ったんですよ。あとは、ウェブ上で、その場で買ってもらえないとダメ。ウェブメディアの場合、見てくれた人がいたとしても「あとでまた見よう」ってなったら終わりだと思っていて。すぐにポチッとできるように、だいたい2,3千円。高くても4千円くらいかな、と。
木内:ということは、値ごろ感ありきで逆算して価格設定という感じだったということですか?戸谷:そうですね。話題性のあるプロジェクトにできれば、「最初の生産分の金額として300万円くらいは集められるだろう」という算段だったので、どれだけインパクトのあるプロジェクトにできるかが勝負だなと思っていました。だからこそ、クラウドファンディングのページも、ソーシャルメディアでシェアしたくなる、メディアが紹介したくなる、といったことを意識しました。そのうえで、少しでも買いやすく、ちょっとでも気に入ったら買ってもらえる価格をイメージしました。中途半端に設定すると、値ごろ感も出ないし、数は集まらないし、利益も出ないし…ってことになりますから。その割り切り方がよかったのかなと思います。

社内の空気を変えたクラウドファンディング

木内:戸谷さんの当初の目的はある程度達成されたのではないかと思うのですが、Makuakeでの成功の前と後とで社内の反応などはどう変わりましたか?戸谷:社内の反応…。それはすごい変わりました(笑)。開始1週間で150万を突破したときくらいから、社内の雰囲気が徐々に変わり始めて、毎日朝礼のときに「今日は何百万までいったね」と紹介されるようになりました。いまでは全社的に取り組んでいて、「これからSiphonをどうやって売っていくのか」「この盛り上がりが消えないように最優先でやっていこう!」という感じになっているので、「あれ?こんな反応だったっけ?」って思っています(笑)
※2014年12月5日に放送された、テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」も社内で話題に。木内:それは企画者冥利に尽きますね。一般的にユーザーの声がメーカー側に届きにくくなっている中で、ユーザーから直接支持されて直接買ってもらえるというクラウドファンディングの強みが、社内の不安な声を払拭する武器になりましたか?戸谷:「今日は何百万いきました」「いま何百人の人が買ってくれています」といった状況を頻繁に社内で共有していました。そうすると、最初は他人事だった人たちも、関心を持ってくれるようになりましたね。もちろん社外へのプロモーションも大事ですが、社内の雰囲気を他人事から自分事にしていくことも大切だと思いました。自分だけが燃えて1人でテンションが上がっているのではなくて、周りのみんなも巻き込んで、自分の余っている熱量をまわりに分散していくのって、プロジェクトの走り方として重要だと思うんですよね。一人が頑張っているから、みんなも「あいつのためならやってあげようかな」と、協力してくれる。それってすごく大切だと実感しました。

「新しい事にどんどんチャレンジしていきたい」

木内:今後の展開として、やっていきたいことなどをお聞かせください。戸谷:いままで、うちの会社でも「これはいい商品だけど、うちには販路がない」「初期投資だけで何百万もかかる」といった理由で、ボツになっていったいいアイデアっていっぱいあるんです。今回、「クラウドファンディングってうまくハマればすごいパワーを持っているじゃん!」ということが、社内全体にも広がった。そうすると、もっとクラウドファンディングを使って、「新規参入してみよう」「今までやったことない分野だけどやってみよう」ということが今後増えてくると思うんですよね。これからもクラウドファンディングを活用して、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいなと思いますね。木内:なるほど!素敵ですね!今日は本当にありがとうございました。(文・写真:Makuakeスタッフ)

Makuake

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