50万いいね!の台湾女優で十勝をPRする方法 ワイガヤ十勝 逢坂氏、柏尾氏インタビュー

十勝が舞台の短編映画『マイ・リトル・ガイドブック』制作のための資金200万円を集め、 台湾の人気女優 吳心緹(ウー・シンティ)を主役に起用。「十勝のよさを広めたい!」という思いでこの映画を製作している、十勝出身者で構成されるグループ 「ワイガヤ十勝」。今回は代表の柏尾哲哉氏・監督の逢坂芳郎氏と、Makuakeを運営しているサイバーエージェント・クラウドファンディングの代表取締役社長 中山亮太郎が対談。プロジェクトの拡散方法や地域に根ざした映画のクラウドファンディング活用などについて話をうかがった。

予告編動画より

 

「いつか十勝に関わりたい」映画製作のきっかけ

中山:まず、お二人がどのようなバックグラウンドをお持ちなのか、簡単に自己紹介をお願いします。逢坂:僕は北海道で生まれて、地元十勝の高校を卒業し、アメリカの大学で映画学科を専攻しました。帰国してからはフリーランスで東京で映像作家として活動しています。コマーシャルの仕事が中心ですが、その傍らで、インディペンデント映画等、自分のやりたい形で作品作りをしています。映画について言えば、商業的なものをつくるのではなく、あくまで映画の作品として作っているという感じですね。柏尾:僕も北海道の十勝の出身ですが、現在は東京でビジネス係の弁護士をしています。東京で仕事をしながら、いつか地元のために役立てることをしたいという思いがすごくあったんです。 十勝出身者が東京で集まって飲んだりしますが、みんな十勝のことが大好きなんです。だけど、十勝って自然、食、日照率、温泉とかいい素材が沢山あるのにまだまだ活かしきれてないねって話していました。
2013年の正月に、今年は何か実際の活動を行ってみようということで、その年の夏に海外や東京の人たちを十勝に案内するツアーイベントを企画しました。この企画を実現するために集まった約20名の仲間がワイガヤ十勝。その中の一人がテレビ局で働いていて、「十勝の魅力を紹介する映像もつくったらいいのでは?」というアイデアが浮かんだんです。中山:なるほど。ちなみに、今回の映画の舞台には台湾もありますが、台湾になったのはどうしてなのですか?柏尾:東京の仲間が中心となった取組みなので、世界に向けて十勝の魅力を伝えるスケール感にしたいと思いました。人口的には、中国語圏の言葉でつくるとすごく広がりがあるんですよね。でも中国を舞台にすると、ロケも大変だし、台湾を経由して中華圏全体にムーブメントを作るアプローチをとることにしました。過去に台湾にいって楽しかった思い出もありましたし(笑)逢坂さんとは、企画が進んでから初めてお会いしたのですが、映像系の知り合いなども台湾に多く、彼も台湾と十勝を繋ぐ映画を作りたいと思っていたんです。すごい偶然でした。 

『マイ・リトル・ガイドブック』ストーリー

中山:この十勝を舞台にした映画『マイ・リトル・ガイドブック』は、どのようなストーリーなのか改めて教えてください。逢坂:ストーリーは、台湾の旅行代理店で働いている女の子が事務作業がうまくいかなくて、左遷的な感じで「自分でツアー商品観光開発をしてこい」、とちょっと無茶振りな仕事をふられる。そこで飛ばされるのが十勝なんですよ。「十勝はまだ知られていないところだから、クビ寸前のきみが開発してきて」、みたいな(笑)。うまくいかなかったら解雇されるかも、みたいな状況で彼女は十勝へ旅立つ…。十勝では地元の人との出会いとふれあいがあって、観光を超えた十勝の価値に気づく…みたいな感じです。中山:面白いですね。脚本は誰が書かれたんですか?逢坂:僕が台北のカフェにこもって書いて、フィードバックを柏尾さんや他のスタッフにもらいながら書き上げました。

1日に5,000ずついいね!が増加 主役をシンティに決めた理由

中山:主役の女優さん(呉心緹 ウー ・シンティ) はどのように決まったんでしょうか?逢坂:主人公は、天然でかわいいキャラがいいな、というのがあったんです。facebookでちょっと人気ある台湾の女優さんを調べたらシンティが出てきて、facebookのファンの数が多かったんです。でもそのときは映画に出た実績とかはなかったから、低予算でも引き受けてくれるかもしれないという期待を込めてアプローチしました。その後は彼女のfacebookのファンの数も1日5千人くらいの感じで増えていったんですよね。
逢坂:シンティは北海道にいって短編を撮るっていうことに興味をもってくれて、準備もよくしてくれました。町おこしにも協力してくれて、食事会にも出たり、とてもサービス精神がありますね。撮影しているときはすごく可愛らしいですけど、役者としては本当に真剣に取り組んでいて、普段はけっこう真面目なイメージがありますね。

こまめな報告が心をつかむコツ?

中山:ワイガヤ十勝さんのプロジェクトは、Makuakeのプロジェクトの中でも特に活動報告をこまめにやられていたなと感じています。脚本もないところのスタートだったのに、台湾に行ってロケハン巡りしていたり、脚本書いていたりみたいな活動報告が僕のfacebookにも流れてきました。僕自身プラットフォームの運営者ではなく、一人のファンとしてわくわくしました。
中山:また、可愛いアイドルの女の子がキャスティングできた、などの投稿が流れてきて、自分が生んだ息子がホームランうったみたいな気分でしたね(笑)。あのポストは意図的だったんでしょうか?逢坂:実は中山さんに「プロジェクトが進んでいる様子を何でもいいのでどんどん投稿した方がいいですよ」と助言を頂いて、その通りにやっていただけなんです(笑)。最初はミーティング風景だったのが、台北の撮影風景になったりとか。中山さんに言われたほどはこまめにはアップできなかったのですが、見る人が期待するようなものにはなっていたかなとは思います。あと、十勝サポーターズという十勝をPRするfacebookページ立ち上げて、そこでも映画のことも投稿していきました。時間と共に、映画と十勝のネタがだんだんクロスしながらファンの数も増えて行きました。柏尾:いきなりお金くださいって言っても見ている人は引いちゃうと思ったので、十勝の良いところを発信して、十勝自体に関心をもってもらい、僕たちが何に情熱をもっているのかを知ってもらって、「だから支援をお願いします!」と伝える、というシナリオだったんです。ただ、途中からクラウドファンディングへの反応が止まってしまったのは焦りましたね(笑)。中山:最初はいいね!と思っていた人でも途中から反応がないのは僕もひやひやしていました(笑)。でもこまめな投稿などで最後の10日ほどで爆発しましたね。逢坂:企画的にサポーターは十勝関係者だけでしたので、広報がデジタルだけだと難しかったですね。途中で十勝に帰って、ちゃんと知り合いに直接会いにいったのがよかったなと思います。中山:僕も帯広の市長にお会いしましたがその記事が新聞で掲載されたときに、十勝を応援したい、という空気感が十勝の人たちにとってもオフィシャルなものに変わったなと感じました。右肩上がりに熱量が上がったと思いました。

Makuakeのプロジェクトページ

地元の同級生にも知られていた

中山:クラウドファンディングが終わった後、何か反響はありましたか?逢坂:印象に残っているのは、帯広のデパートで買い出しをしているときに中学校の同級生に会って「映画やってんの!?」と言われたことですね。情報が自分の知らないところで伝わっていて、地域の中ではバズっていた、というのを感じました。柏尾:「ネット上で展開されるクラウドファンディングのプロセスが感動的で、これくらいハラハラして感動したエンディングはなかった」見てた人から言われましたね。みんなの力が一つになって新しいことを始めようとすることへの高揚感と感動があったんだなと思います。映画をつくるプロセスを、みんなで楽しめる仕掛けができてよかったですね。逢坂:facebookのいいね数はクラウドファンディングが終わった当時は2,500で、今は3,500まで増えました。クラウドファンディングが終わってからサポートしたいっていう人もでてきて、ちょっともったいないなと思いましたね(笑)。

秘訣はfacebookの拡散力?50万いいね!を超える女優の起用

中山:僕が今回の企画で面白いと思ったのが、主役の女の子のfacebook拡散力に目をつけた、というところです。 劇場でいくら稼いだか、ではなくどれくらいの人に見られたか、というのは映画の製作委員会の在り方を変えていくヒントになるのではないかと思っています。今回は儲かりたい、じゃなくて見られてほしい、というのが一番の目的でしたよね。そこのソリューションとして、台湾で50万人を超える「いいね!」がついている女優さんを起用されました。台湾に関してはその子が「出たよ、見てね!」と言うだけですごく広まるじゃないですか。もしかしたら十勝の人が知らないのに台湾ですごく見られている、という状態になりえますよね。   
逢坂:クランドファンディング実施中は、脚本も女優も決まっていなかったんです。脚本はシンティをfacebookで見つけてから書き始めました。彼女がファンにどんな風に好かれているかを見て、それにこっちが合わせていく形にしていきました。あくまでこの映画のターゲットは台湾の方々なので。十勝の人には「十勝の映画を作って広めよう」というシンプルな目的で参加してもらっているんですが、裏では効果を最大化できるよう、台湾の視聴者を意識しながら動いていました。クラウドファンディングでもこういったプロジェクトを実行しながら発展させていく方法は、結果的にはサポーターにとってのサプライズになって支持も上がるし、プロジェクトが終わったあと「また応援するよ」という気持ちに繋がればとても気持ちが良いことだと思います。それにしても、シンティが出演を受けてくれて本当に良かったと思っています(笑)中山:僕はすごく見られるイメージがわきます。そもそもクラウドファンディングというのがソーシャルネットワークをつかって拡散する、という感じでしたし。今回のシンティさんのバイラル拡散力は思いがけないものだったと思います。柏尾:元々営利目的ではなく、地域の良さを伝えたいという共感性からスタートしたプロジェクトでしたし。逢坂さん、今回は台湾に向けた映画でしたけど、今後続編を作ったり、台湾以外の国向けに映画を作る計画はあるんですか?逢坂:結果次第ですかね。中山:今回、Youtubeなどで無料配信するので、どれだけ見られたかの結果がわりますもんね。逢坂:25分の映画で、台湾の人がどこに反応するかに興味があるんです。そこを見て、そこにのっかる形でいいと思っているんですよね。映画作品というよりかは、十勝を広めていく活動なので。十勝を映像で外国人にどれだけインプットできるか、というところですね。

これからのチャレンジャーへ。

中山:今後、映画、特に地域がテーマのものでクラウドファンディング検討している方に向けて何かアドバイスがあればお願いします逢坂:純粋に地元が好きかっていうのを自分に問いかけてみるのが大事だと思います(笑)。それがあれば、困難があっても最後まで乗り切れると思うんですよね。成果がお金になってくると、共感は得られないし、純粋さを失ってしまう。その点で、ワイガヤ十勝のメンバーは地元への想いから始まっているので、お互いを信頼して、気持ちよくやれていると思います。中山:思いの強さ、地元愛ですね。思いの強さというのが、無機質に見えるネットでも伝わると思うんですよね。ネットって、バーチャルとは言えども本当のところは隠せない、というか。書き方とか更新の頻度とかによって本音なのか、商業的なのかってわかると思うんですよね。柏尾:そういうのは凄く大事ですよね。基本こういう映画って持ち出しでやっているので、やろうとしていることに対する情熱が支えです。今回は「全く知らない海外の人に地元十勝の魅力を伝えよう」というのが僕たちの情熱でした。難しいけど夢のある目標設定だったので、それが求心力となって応援いただけたのかなと思っています。中山:完成を楽しみにしています。今日はありがとうございました!(文:森 恵)

Makuake

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